閾値走のペース早見表|週1で走力が伸びる正しいやり方
「もっとペースを上げたいのに、すぐ息が上がってしまう」と悩んでいませんか?その原因の多くは乳酸性作業閾値(LT)の低さにあります。閾値走(LT走)を週1回正しく取り入れるだけで、ランニングの有酸素能力は着実に向上します。この記事では定義・効果・LTペースの計算法・ペース早見表・よくある質問まで、箱根駅伝2区区間賞・3区区間新記録を持つ森田コーチ監修でまとめます。
閾値走(LT走)とは?【結論】
閾値走(LT走)とは、血中の乳酸が急増し始める「乳酸性作業閾値(LT)」付近のペースで20〜30分走り続けるトレーニングです。継続することで有酸素能力・スタミナが向上し、レースペースの底上げにつながります。
閾値走の効果を3つ理解する
- 有酸素能力の向上:LT付近の刺激がミトコンドリアを増加させ、同じペースでの疲労感が下がる
- 乳酸処理能力の向上:乳酸を素早くエネルギーとして再利用できる体に変わる(後述)
- レースペースの底上げ:LTが上がるほど、より速いペースを長く維持できるようになる
LTペースを3つの方法で計算する
① 心拍数から算出する(最大心拍数の80〜90%)
LTペースの目安は最大心拍数の80〜90%です。最大心拍数の簡易計算式は「220-年齢」。40歳なら最大心拍数180、LT心拍数の目安は144〜162bpmになります。スマートウォッチで心拍を確認しながら走ると感覚に頼らず正確なゾーンを維持できます。初心者は80〜86%、上級者は88〜92%を目安にしてください。
② 5km自己ベストから逆算する(×1.05〜1.10)
5km自己ベストの1km平均ペースを1.05〜1.10倍(5〜10秒遅く)するとLTペースの目安になります。計算例:5km自己ベスト25分(5:00/km)→ LTペース目安 5:15〜5:30/km。
③ 「会話がギリギリできる」強度で感覚確認する
機器がない場合は「ようやく一言しか返せないくらいの強度」が目安です。終了後に「あと1kmなら走れる」余力を残すペースが正解。追い込みすぎると翌日の疲労が蓄積し逆効果になります。
ペース早見表(5km・10km自己ベスト別)
下表はあくまで目安です。体調・気温により±10秒程度の調整を推奨します。
| 5km自己ベスト | 10km自己ベスト(目安) | LT走 目安ペース | 対応レベル |
|---|---|---|---|
| 35分〜(7:00/km) | 72分〜 | 7:20〜7:40/km | ジョグ卒業〜完走狙い |
| 30分(6:00/km) | 62分前後 | 6:15〜6:35/km | サブ5〜サブ4.5狙い |
| 28分(5:36/km) | 58分前後 | 5:50〜6:05/km | サブ4狙い |
| 25分(5:00/km) | 52分前後 | 5:15〜5:30/km | サブ3.5狙い |
| 21分(4:12/km) | 44分前後 | 4:25〜4:40/km | サブ3狙い |
閾値走を週1回から始める3ステップ
ステップ1:週1回・テンポ走20〜30分を取り入れる
上表のLT走目安ペースで20〜30分を一定ペースで走るのが基本形です。週1回で十分効果が出ます。ペース走(テンポ走)はレースペースより15〜20秒遅いくらいが目安で、追い込む練習ではなく「走りのリズムを掴む」ための練習と捉えてください。
ステップ2:慣れるまではクルーズインターバルで分割する
20分継続が難しい場合は10分走・2分ジョグ・10分走(クルーズインターバル)から始めましょう。リカバリーはジョグで行い、完全に止まらないことが鉄則です。慣れたら2000m×3本→3000m×2本と段階的に距離を伸ばします。
「ハードにやればやるほど強くなるというのは最大の誤解です。閾値走は週1回、正しい強度で継続することが最も効果的。感覚が合っているか一度プロに確認してもらうだけで練習の精度が格段に上がります」
―― 森田歩希コーチ(青山学院大学・箱根駅伝2区区間賞・3区区間新記録・総合優勝2回、4年時主将)
ステップ3:有酸素ベースが整っているか事前に確認する
閾値走は有酸素ベースが整った状態で初めて効果を発揮します。まず週4〜5日・心拍数120〜130bpm(6〜7分/km)のジョグで60〜90分走れる体を作ることが先決です。土台なしにLT走を入れても効果は半減し、怪我リスクも上がります。
「乳酸=疲労物質」は誤解。正しく理解して強くなる
「乳酸が溜まると足が動かなくなる」と思っている方は多いですが、これは過去の誤解です。乳酸はミトコンドリアで素早くエネルギーとして再利用されます。閾値走の目的は「乳酸を出さないこと」ではなく、「作った乳酸をより速く再利用できる体に変えること」です。このメカニズムを知ると「きつさ=効果」という思い込みから解放され、正しい強度で練習できるようになります。
閾値走(LT走)のよくある質問
閾値走のペースはどれくらい?
5km自己ベストの1km平均ペースより5〜10秒遅いペース、または最大心拍数の80〜90%が目安です。「ようやく一言だけ返せる」強度で、追い込まず余力を残して終わるのが正解です。上の早見表も参考にしてください。
閾値走の頻度は週何回?
週1回で十分です。週3回のポイント練習を行う場合、理想の割合はインターバル1.5回・ペース走(閾値走)0.5回・距離走1回。閾値走を増やしすぎると回復が追いつかず逆効果になります。
閾値走とインターバルの違いは?
インターバル走はレースペース以上の強度で短距離を分割して走り、スピード耐性を高める練習です。閾値走はそれより低強度で20〜30分継続し、有酸素能力・LTを直接引き上げます。週のサイクルに両方を組み合わせると相乗効果が生まれます。
初心者でも閾値走をやっていい?
週4〜5日のジョグで60〜90分走れる体が整っていれば、初心者でも取り入れられます。最初はクルーズインターバル(10分×2本)から始めて、徐々に継続時間を延ばすのがおすすめです。心拍数を確認しながら無理なく始めてください。
まとめ
閾値走(LT走)は5km自己ベストまたは心拍数からペースを算出し、週1回20〜30分のテンポ走またはクルーズインターバルで始められます。乳酸はエネルギー源であり、LT走の目的は乳酸を速く再利用できる体を作ること。正しい強度で継続することが最速の上達につながります。
監修者プロフィール
森田歩希(もりた ほまれ)|Sterling Squad ランニングコーチ
青山学院大学卒。箱根駅伝2区区間賞・3区区間新記録・総合優勝2回・4年時主将。GMO実業団を経て引退後、五輪担当フィジカルトレーナー吉澤和宏とともにSterling Squadを設立。長野・東京・埼玉を中心に個人の目標達成に向けた専門指導を行う。

