9割のランナーが信じる練習の誤解5選|春マラソン直前に正しておく知識

「一生懸命練習しているのに、なぜかタイムが伸びない」「毎日走っているのにレース本番で失速してしまった」——そんな経験はありませんか?

実は、多くのランナーが「正しいと信じていること」が、逆にパフォーマンスを下げているケースが少なくありません。春のマラソンシーズンに向けて練習に励む今こそ、知っておくべき「練習の誤解」を正しておきましょう。

この記事では、元青山学院大学陸上部・森田歩希コーチと、五輪帯同経験を持つフィジカルトレーナー・吉澤コーチの知見をもとに、9割のランナーがハマりやすい練習の誤解5つを解説します。

誤解①「毎日走れば速くなる」——頻度より「質の組み立て」が重要

「とにかく毎日走ることが大事」と思っているランナーは多いのではないでしょうか。しかし、森田コーチはこう指摘します。

「マラソンにはある程度のベース(週5〜6日)は必要ですが、7日走るか6日かは人それぞれ。重要なのは日数ではなく、練習に強弱を持たせることです」

走らない日は完全に休むより、水泳やバイク、散歩などランニングのインパクトをかけない運動がおすすめです。筋肉を休ませながら心肺機能を維持できるため、翌日の練習品質が上がります。

「強い日・弱い日」の練習設計が鍵

  • 強い日(ポイント練習):インターバル走・ペース走・距離走
  • 弱い日(リカバリー):ゆっくりジョギング・クロストレーニング
  • 理想の割合:ポイント練習3回+ジョギング3回(週6日の場合)

毎日「なんとなく走る」のではなく、今日は何を目的に走るのかを意識するだけで練習の質は大きく変わります。

誤解②「ハードにやればやるほど強くなる」——オーバーワークが最大の敵

「もっとキツい練習をしなければ速くなれない」——この思い込みが、多くのランナーを怪我や燃え尽きに追い込んでいます。

森田コーチが青山学院大学で体得した「青学メソッド」のベースにある考え方は明快です。

休まないといけないわけでも、ハードにやらないといけないわけでもない。しっかりと強弱を持って練習することが重要です。追い込み練習は遅くとも10日前、理想は2週間〜10日前に終わらせること。1週間前の追い込みは体の疲労が取れずレース結果に悪影響が出ます」

オーバートレーニングのサインを見逃すな

以下のサインが続いている場合は要注意です(吉澤トレーナー監修):

  • 1ヶ月以上疲労感が続いている
  • 練習翌日でも体が重くだるい
  • 心拍数が普段より高い
  • モチベーションが著しく低下している

疲れた状態でいくら頑張っても練習効果は薄く、むしろ怪我のリスクが高まります。「休む勇気を持つこと」もトレーニングの一部です。

誤解③「ジョギングは遅すぎて意味がない」——ゆっくり走る日にも明確な目的がある

「速く走らないと練習にならない」と思って、毎回一生懸命走っているランナーは少なくありません。しかし、これは大きな誤解です。

森田コーチはこう説明します:

「週6日走るうちポイント練習が3回なら、残り3回はジョギング。そのジョギングをどんな目的で行うかが重要です。ゆっくり走る日も速くリズムよく走る日も、どちらも意味があります」

ジョギングの主な目的3つ

  1. 有酸素能力の向上:低強度でも継続することで毛細血管が発達し、疲れにくい体になる
  2. リカバリーの促進:軽い運動で血流を促し、ポイント練習後の疲労回復を早める
  3. フォームの定着:余裕のあるペースで正しいフォームを体に染み込ませる

「遅いから意味がない」ではなく、「今日のジョギングは何のためか」を意識して走る習慣をつけましょう。

誤解④「インターバル走をたくさんやれば速くなる」——質・頻度・ペースの3つすべてが大事

スピード練習の代表格であるインターバル走。しかし「やればやるほどいい」というわけではありません。

森田コーチが指摘するインターバル走でよくある間違いは3つです:

  • 頻度が多すぎる:週3回以上のインターバルは疲労が蓄積するだけ
  • ペースが遅すぎる:目標レースペース以上で走れていなければ効果が薄い
  • 逆に速すぎる:後半バテバテになったり、リカバリーが長くなって練習の質が落ちる

たとえばフルマラソンでサブ4(4時間切り)を目指すなら、インターバル走は1km×5本でキロ5分前後のペースが一つの基準です。「形になる練習」を積み重ねることが、本番のレースペースに体を慣らす近道です。

ポイント練習の理想的な週の配分

  • インターバル走:週1.5回(2週に3回)
  • ペース走(レースペース前後):週0.5回(2週に1回)
  • 距離走(LSD・30km走):週1回

→ 詳しいトレーニング計画については フルマラソンサブ4達成の練習メニュー完全ガイド もあわせてご覧ください。

誤解⑤「水さえ飲んでいれば脱水にならない」——電解質補給なしでは危険

レース中やトレーニング中の水分補給について、「こまめに水を飲めばOK」と思っているランナーは多いですが、これは半分しか正しくありません。

吉澤トレーナーはこう指摘します:

水だけでは不十分です。運動で汗をかくと電解質も失われるため、水だけ飲むと体内の電解質バランスが乱れます。スポーツドリンクなど電解質を含む水分補給が重要です」

特に春のレースは気温が上昇し始め、思った以上に発汗量が増えます。水だけでの補給を続けると低ナトリウム血症(水中毒)のリスクもあるため注意が必要です。

レース当日の水分補給3つのポイント

  1. スタート前:200mlずつこまめに補給(一気飲みNG)
  2. レース中:5kmごとのエイドでスポーツドリンクを積極的に摂取
  3. 30km以降:エネルギーゲルと一緒に水分・電解質を同時補給

まとめ:正しい努力の方向を知ることが、最速の上達ルート

今回ご紹介した「練習の誤解」をまとめると:

  • ❌ 毎日走れば速くなる → ✅ 強弱のある練習設計が重要
  • ❌ ハードにやるほど強くなる → ✅ 適切な負荷とリカバリーのバランス
  • ❌ ジョギングは意味がない → ✅ 目的を持ったジョギングが底力をつける
  • ❌ インターバルを増やせばいい → ✅ 質・頻度・ペースの3つを適切に設定
  • ❌ 水だけ飲めばOK → ✅ 電解質補給がパフォーマンスと安全を守る

森田コーチが一貫して伝えているのは、「間違った方向に努力し続けても逆効果。正しい努力の方向を知ることが最重要」というメッセージです。ネットやSNSには情報が溢れていますが、自分の体の状態を正確に把握し、適切な練習設計を組み立てるには専門家の目が不可欠です。

春マラソンまで残り時間が少ない今だからこそ、「量を増やす」より「誤解を正す」ことに時間を使ってみてください。それが本番でのパフォーマンスに直結します。

Sterling Squadでは、森田コーチ(元青学)と吉澤トレーナー(五輪帯同経験)が一人ひとりの練習設計をサポートしています。「今の練習が正しいかどうか確かめたい」という方は、ぜひ無料体験会にお越しください。