レース10日前の追い込みはNG!フルマラソンで失敗しない調整5ステップ
「レース2週間前なのに、まだ走り込みが足りていない気がする……」
そんな不安から、レース直前に追い込み練習をしてしまったことはありませんか?実はこれ、フルマラソン完走を遠ざける最大の失敗パターンのひとつです。
この記事では、元青山学院大学陸上部・森田コーチと五輪帯同フィジカルトレーナー・吉澤トレーナーの知見をもとに、レース10日前から始める正しい調整法を5ステップで解説します。「体が万全の状態でスタートラインに立つこと」こそが、フルマラソン完走の最優先条件です。
なぜ「レース直前の追い込み」がフルマラソンの失敗を招くのか
多くの初〜中級ランナーが陥るのが、「まだ練習が足りていないかも」という不安から直前に追い込んでしまうこと。しかし、これは逆効果です。
追い込み練習の疲労はレース当日まで残る
高強度の練習をした場合、筋肉の微細な損傷が回復するまでに最低でも72時間〜1週間かかります。レース1週間前に追い込んだ場合、その疲労はスタートラインまでに抜けきりません。「体が重い」「足が動かない」という状態で42kmを走ることになります。
森田コーチが青学で体得したテーパリングの原則
森田コーチは青山学院大学での4年間、原監督の「青学メソッド」のもとで年間計画の考え方を徹底的に学びました。その核心のひとつが、「追い込み練習は遅くとも10日前、理想は2週間〜10日前に終わらせる」というテーパリングの原則です。
「1週間前に追い込んでしまった選手は、残念ながら体が重い状態でレースに入ることが多い。疲労を抜いてスタートラインに立つことが、本来の実力を発揮するための大前提です」(森田コーチ)
失敗しないテーパリング|10日前からの全体スケジュール
テーパリングとは、練習量を段階的に落としながら体を整えるプロセスです。以下が理想的なスケジュールの目安です。
- レース14〜11日前:インターバル走・ペース走など高強度練習の最終フェーズ
- レース10〜8日前:高強度練習を終了。ジョグ中心に切り替える
- レース7〜4日前:軽めのジョグとストレッチ中心。週間走行距離を通常の50〜60%に落とす
- レース3〜2日前:10〜20分の軽いジョグのみ
- レース前日:完全休養または10分程度の軽いウォーミングアップのみ
「練習量を落とすと体力が落ちそうで不安」という声をよく聞きますが、心配無用です。10日程度では体力は落ちません。むしろ溜まった疲労が抜けて、本来の実力が引き出されるのがテーパリングの効果です。
怪我ゼロで完走する5ステップ
ステップ1:10日前で高強度練習を完全に終了する
インターバル走やペース走など、心拍数が上がる練習はレース10日前を最終日とします。「もう1回やりたい」という誘惑に負けず、ここでスパッと切り替える勇気が大切です。この決断がレース当日の体の軽さに直結します。
ステップ2:ジョグで体のリズムを維持する
練習量は落としますが、完全に走ることをやめる必要はありません。1回30分程度の軽いジョグを継続することで、心肺機能と筋肉のコンディションを維持できます。ペースは会話できるくらいのゆっくりしたペースが目安です。森田コーチは「走らない日は水泳や散歩など、ランニングの衝撃をかけない運動で体を動かすのもおすすめ」と言います。
ステップ3:吉澤トレーナー直伝のケアルーティンを実践する
五輪帯同フィジカルトレーナーの吉澤トレーナーは、「股関節の可動域を維持することが怪我予防の根本対策」と指摘します。デスクワークが多い方は特に股関節が固くなりがちで、それが膝下の怪我につながります。以下のケアルーティンをレース前の10日間、毎日実践してください。
- 動的ストレッチ(走る前):股関節・肩甲骨・胸椎の3カ所を重点的に動かす
- 静的ストレッチ(走った後):ハムストリングス・大臀筋・ふくらはぎを各30秒以上
- 入浴:シャワーではなく湯船につかり、血流を促して筋肉疲労を抜く
ステップ4:食事と睡眠で疲労回復を最大化する
吉澤トレーナーが「疲労回復の最優先事項」と位置づけるのが睡眠です。アスリートには8時間以上の睡眠が推奨されており、レース前の10日間は特に意識して早く寝ることが重要です。
食事については、タンパク質と糖質のバランスが重要です。レース3〜4日前からは炭水化物(ご飯・パスタ・パンなど)を通常より多めに摂る「カーボローディング」を取り入れると、レース後半のエネルギー切れを防ぐ効果があります。また、水だけでは不十分で、電解質(スポーツドリンクなど)も一緒に補給することで足のつりを予防できます。
ステップ5:前日は軽く動いて心身をリセットする
「完全休養すべきか、軽く走るべきか」という疑問をよく受けますが、森田コーチは「軽く動いた方が疲労が抜けやすい」と言います。10〜15分程度の軽いジョグと動的ストレッチで体のスイッチをONにしておくのが理想的です。長時間じっとしていると、体がなまった感覚でレース当日を迎えてしまいます。
レース当日の朝|やるべきこと・やってはいけないこと
いくら10日間を正しく調整しても、当日の朝の過ごし方で台無しになることがあります。森田コーチが最も強調するルールは「普段と変わったことをしない」こと。試したことのない食べ物、初めて使うウォームアップ方法は当日に試してはいけません。
やるべきこと
- トイレをしっかり済ませる(スタート前に複数回)
- レース3時間前に消化のいい食事をしっかりとる
- 水分は一気飲みせず200mlずつこまめに補給する
やってはいけないこと
- いつもと違うウォームアップや食事を試す
- 夏なら暑い場所に長くいる、冬なら体を冷やしすぎる
- 「不安だから」と直前にストレッチを過度にやりすぎる
まとめ:「体が万全の状態でスタートラインに立つ」が完走への最短ルート
フルマラソン完走に向けた調整で最も大切なのは、体が万全の状態でスタートラインに立つことです。42kmという長丁場では、スタート時点での体のコンディションがゴールを大きく左右します。
「レース10日前で追い込みを終える」「ジョグとケアで体を整え続ける」「睡眠と食事で回復を最大化する」——この3原則を守るだけで、レース当日の体の軽さが変わります。
ペース配分の失敗やエネルギー補給の戦略については、こちらのペース配分完全ガイドも合わせてご覧ください。正しい準備を整えて、ゴールの瞬間を最高の笑顔で迎えましょう!
Sterling Squadでは、森田コーチ・吉澤トレーナーによる個別のレース前調整サポートも行っています。初めてのフルマラソンを完走したい方、自己ベストを更新したい方は、ぜひ体験会にお越しください。


