スピードが伸びない中高生のNG習慣3選と正しい補強トレーニング【即実践ルーティン付き】

「毎日練習しているのに、なぜかライバルにタイムで負け続けている」「スピードが上がらない理由がわからない」——そう悩んでいる中高生ランナー・保護者の方は多いのではないでしょうか。実は、スピードが伸び悩む根本原因は「走り込み量の不足」ではありません。この記事では、スピードが出ない中高生がやりがちなNG習慣3選と、今日から取り組める補強トレーニング・週間ルーティンを、箱根駅伝2区区間賞・Sterling Squadコーチの森田がお伝えします。

この記事を読むとわかること

  • スピードが伸びない中高生がやりがちなNG習慣3選
  • 今日から始められる効果的な補強トレーニング3種(動作解説付き)
  • 週3回・1回15分でできる即実践ルーティン

なぜ中高生は「走り込みより補強」を優先すべきか

中学・高校生は骨や筋肉が発達段階にあります。この時期に大量の走り込みを積むと、高校・大学で伸び悩んだり、怪我を繰り返すリスクが高まります。一方、スピードを生み出す正しい動きと筋力を身につけると、少ない練習量でも確実に記録は伸びます。

「中高生は距離を踏むよりスピードの出る走りを身につけることが大事です。ドリルや補強といった基礎をきちんと教えてもらえる環境が少ないのが現状ですが、正しく身につけると少ない練習量でもスピードが出るようになります。走り込みより『スピードが出る走り』を習得する方が圧倒的に効果的です」
— 森田 歩希コーチ(箱根駅伝2区区間賞・3区当時区間新記録/Sterling Squad)

スピードが伸びない中高生のNG習慣3選

補強を紹介する前に、まず「やってはいけないこと」を確認しましょう。以下のNG習慣に当てはまるものはありませんか?

NG① ただ走り込むだけで補強をしない

「スピードが欲しければ走れ」は半分正解、半分間違いです。走り込みは有酸素能力を高めますが、推進力を生み出す臀部・ハムストリングスの筋力や、股関節の可動域は走るだけでは向上しません。補強なしで走り込みを続けると、弱い部位を他の筋肉が代償し、フォームの崩れや怪我につながります。特に中学生は最長3000m。3000mを速く走るのに大量の走り込みは必要ありません。

NG② アウターマッスル主体の筋トレをしている

「速くなりたいから筋トレをしている」と言っても、スクワットや腕立てだけでは不十分です。吉澤トレーナーによると、ランニングパフォーマンスに最も直結するのは大臀筋・ハムストリングス・腸腰筋・腹横筋などのインナー系の筋肉です。ベンチプレスなど上半身のアウター筋肥大トレーニングは、体を重くするだけで逆効果になることもあります。

NG③ 股関節をほとんど動かさずに練習を始める

スピードが出ない選手の多くに共通するのが股関節の可動域不足です。長時間の座学・勉強で股関節が固まった状態のまま走り出すと、膝下だけで走る「下を使う走り」になり、怪我のリスクも高まります。吉澤トレーナーは「股関節の可動域を高めることが怪我予防とスピードアップ両方の根本対策」と語っています。

今日から始める補強3選(動作解説付き)

上記のNG習慣を改善するために取り組むべき補強が、次の3つです。器具不要・自宅でもできるものだけを厳選しました。

補強① シングルレッグデッドリフト(大臀筋・ハムストリングス)

片足立ちで上体を前傾させる「シングルレッグデッドリフト」は、推進力の要となる大臀筋とハムストリングスを同時に鍛える最高効率の補強です。左右各10回×2セットから始めましょう。

【やり方】

  1. 片足で立ち、もう一方の足を後ろに伸ばす
  2. 軸足のつま先はまっすぐ正面を向ける
  3. 股関節から折り曲げるようにして上体を前方に倒す(背中は真っすぐ)
  4. 床と平行になるまで倒したら、股関節の力でゆっくり戻す
  5. 左右各10回×2セット

【よくある間違い】

  • ✗ 背中が丸まってしまう → ✅ 体幹を締めて背筋を伸ばす
  • ✗ 軸足のつま先が外を向く → ✅ 正面に向け、膝が内側に入らないようにする
  • ✗ 倒れた上体を腕の力で戻す → ✅ 股関節の伸展(お尻の筋肉)を意識する
こんな選手に特におすすめ
ストライドが狭い・後半に失速する・膝が前に出すぎるフォームが気になる選手

補強② マウンテンクライマー(腹横筋・腸腰筋)

プランクの姿勢から交互に膝を引き上げる「マウンテンクライマー」は、ランニング動作に直結した腸腰筋と腹横筋を同時に強化できます。体幹が安定すると腕振りの無駄が減り、推進力に変換される力が増えます。30秒×3セットを目安に取り組んでください。

「体幹トレーニングはランニングに適したものを選ぶことが重要です。接地時に体を安定させ、フォームを崩さないために腹横筋と臀部周りを優先して鍛えてください。スポーツごとに特異的なトレーニングがあるため、ランニング専用の体幹種目をすることで効果が出ます」
— 吉澤和宏トレーナー(Sterling Squad・五輪担当フィジカルトレーナー)

【やり方】

  1. 両手を肩の真下についてプランク姿勢をとる
  2. 右膝を胸に向かって引き上げる
  3. 素早く右足を戻しながら左膝を引き上げる(交互に繰り返す)
  4. 30秒×3セット(慣れてきたら45秒に延長)

【よくある間違い】

  • ✗ お尻が高く浮いてしまう → ✅ 体を頭からかかとまで一直線に保つ
  • ✗ 腰が沈んで背中が反る → ✅ お腹を引き締めて腹横筋に力を入れる
  • ✗ 速くやりすぎてフォームが崩れる → ✅ まずはゆっくり正確な動作から始める
こんな選手に特におすすめ
腕振りが大きく左右にブレる・走ると腰が落ちる・ラスト1周で腕が下がる選手

補強③ 股関節サークルドリル(腸腰筋・内転筋)

スピードが出ない選手の多くは股関節の可動域が不足しています。仁王立ちで片膝を大きく外回り・内回りに回す股関節サークルドリルを左右各10回×2セット実施しましょう。この種目は補強というよりも「動的ストレッチ+可動域拡大」として機能するため、練習前のウォームアップとしても最適です。

【やり方】

  1. 肩幅よりやや広めに足を開いて立つ(仁王立ち)
  2. 片膝を腰の高さまで持ち上げながら、大きく外回りに円を描く(10回)
  3. 同じ足で内回りも10回行う
  4. 反対の足も同様に実施(左右各10回×2セット)

【よくある間違い】

  • ✗ 円が小さく動きが浅い → ✅ 可動域の限界まで大きく動かすことを意識する
  • ✗ 上体がぐらぐらしてバランスが崩れる → ✅ 体幹に力を入れて軸を安定させる
  • ✗ 速くやりすぎて惰性になる → ✅ ゆっくり丁寧に動かすことが股関節の柔軟性向上につながる
こんな選手に特におすすめ
歩幅が狭い・カーブで内側の足が踏み込めない・股関節が詰まる感覚がある選手

週3回・1回15分の即実践ルーティン

補強は「気が向いたらやる」では効果が出ません。練習メニューに組み込むことが継続のコツです。以下のルーティンを参考に、自分のスケジュールに落とし込んでみてください。

タイミング 種目
練習前(ウォームアップ後) 股関節サークルドリル 左右各10回×2セット(約5分)
練習後(クールダウン前) シングルレッグデッドリフト 左右各10回×2セット(約5分)
練習後(クールダウン前) マウンテンクライマー 30秒×3セット(約5分)

2〜3週間継続すると変わること:

  • 走りの安定感が増し、フォームのブレが減る
  • 後半の失速が起きにくくなる
  • 股関節が動くことで自然にストライドが広がる

補強は「量より継続」が原則。まず2週間、毎回の練習に組み込んでみてください。

まとめ:スピードの壁は「走り方の土台」で突き破れる

スピードが伸び悩む中高生ランナーに共通するのは、「走るための土台」が不十分なことです。

  • 大臀筋・ハムストリングス → シングルレッグデッドリフトで強化
  • 腸腰筋・腹横筋 → マウンテンクライマーで強化
  • 股関節の可動域 → 股関節サークルドリルで拡大

3つの補強は合計15分で完了します。今日の練習から取り入れて、スピードの土台づくりをスタートしましょう。フォームを細かく見てもらいながら補強を学びたい方は、ぜひSterling Squadの体験会へ。元箱根駅伝ランナーと五輪担当トレーナーが直接指導します。

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この記事を書いた人

森田 歩希(もりた ほまれ)
箱根駅伝2区区間賞・3区当時区間新記録・総合優勝2回・4年時主将。青山学院大学出身。現在はSterling Squadにてランニングコーチとして活動。青学で体得した原監督の「青学メソッド」(練習の組み立て・年間計画の考え方)を個人にアレンジして指導。「目標を持って取り組み、努力が報われる喜びを伝える」をモットーに、中高生からシリアスランナーまで幅広く指導。