マラソン大会3週間前にやってはいけない練習と完走するための4ステップケア計画
「大会まであと3週間。もっと練習しなきゃ不安だ」——そう感じて直前に追い込み練習を入れてしまい、当日に足が重かった、という経験はありませんか?
実は、マラソンのレース結果を左右するのはスタートラインに立つ前の3週間の過ごし方です。この記事では、Sterling Squadの森田コーチが実践してきた「テーパリング(レース前調整)」の考え方と、吉澤フィジカルトレーナーが推奨する怪我ゼロで完走するためのデイリーケア4ステップを具体的に解説します。
この記事を読むと、「残り3週間で何をすべきか・何をやめるべきか」が明確になり、自信を持ってスタートラインに立てるようになります。
なぜ「大会3週間前からの過ごし方」がレース結果を決めるのか
多くのランナーが犯す最大のミスは、レース直前に追い込み練習を入れてしまうことです。「もう一回20km走をやっておきたい」「スピード練習が足りない気がする」——その気持ちはよくわかります。しかし、これが完走を遠ざける最大の原因になります。
「直前追い込み」が失速の原因になる理由
森田コーチはこう話します。「追い込み練習は遅くとも10日前、理想は2週間〜10日前に終わらせること。1週間前の追い込みは体の疲労が取れずレース結果に悪影響が出る」。
ハードな練習で筋肉に与えたダメージが完全に回復するには、最低でも72〜96時間(3〜4日)必要です。レース1週間前にポイント練習を入れると、ダメージを抱えたままスタートラインに立つことになります。42kmという距離では、その蓄積疲労が必ず後半の失速として現れます。
逆に「何もしない」も正解ではない
「では完全に休めばいいのか」というと、それも違います。吉澤フィジカルトレーナーによれば、完全に動かないより軽く動いた方が疲労が抜けやすい。血流を促して筋肉の回復を助けるため、軽いジョグやウォーキング程度の活動は続けることがポイントです。
大会3週間前〜当日までの正しい練習の組み立て方
森田コーチが青学で体得した「練習の強弱(テーパリング)」を、市民ランナー向けに翻案した3週間プランです。
3週間前:最後の追い込みはここで終わらせる
- 週のポイント練習(インターバル走・ペース走・ロング走)は最大3回まで
- ロング走は最長でも30km。これ以上は不要
- 練習後のケア(クールダウン・ストレッチ・入浴)を丁寧に行う習慣をつける
- 睡眠は8時間以上を目標に(吉澤トレーナーの推奨値)
2週間前:走行距離を70%に落とす
- 週間走行距離を通常の60〜70%に削減
- ポイント練習は週1〜2回。ペースはレースペース程度に抑える
- インターバル走はこの週で終了。次の週には入れない
- 残りの練習日はジョギング(会話できる余裕のあるペース)のみ
「ここで急に練習量を落とすと不安になる」という声をよく聞きます。しかし森田コーチはこう言います。「この段階で体力は落ちない。むしろ疲労が取れてパフォーマンスは上がる」。この時期の練習量削減は「やめる」のではなく「仕上げる」ための選択です。
1週間前〜前日:体を「準備完了」状態にする
- 走行距離は通常の30〜40%まで削減
- ジョギングのみ。1回あたり20〜30分で十分
- 前日は10〜15分の軽いジョグで足を動かしておく(完全休養より効果的)
- 食事は消化のいいものを選び、レース3時間前には食べ終われるよう計算する
怪我ゼロで完走するための4ステップ・デイリーケア
吉澤フィジカルトレーナーが推奨する、この3週間に毎日実践すべきケアのルーティンです。「ケアをルーティン化できているランナーほど、レース直前に怪我が少ない」というのは、五輪帯同経験を持つ吉澤トレーナーが繰り返し強調するポイントです。
STEP1|練習前:股関節・肩甲骨・胸椎の動的ストレッチ(10分)
ランナーに最も多い怪我(膝下・ふくらはぎ)の根本原因は、股関節周りの可動域不足です。股関節が動かないため、代わりに膝下を使いすぎてしまいます。特にデスクワークが多い方は、長時間座り続けることで股関節が固まりやすくなっています。
動的ストレッチで優先して動かすべき3部位:
- 股関節(レッグスウィング・ヒップサークル)
- 肩甲骨周り(アームサークル・肩甲骨引き寄せ)
- 背骨の胸椎(キャットカウ・ソラシックローテーション)
STEP2|練習後:クールダウンジョグ5分+静的ストレッチ10分
練習直後に止まってしまうのはNGです。まずダウンジョグで心拍数をゆっくり落とし、体のスイッチをオフにしてから静的ストレッチへ。このステップを飛ばすと翌日の疲労感が明らかに違います。
静的ストレッチで重点的に伸ばすべき筋肉:
- 大臀筋・梨状筋(お尻)
- ハムストリングス(もも裏)
- 腸腰筋(股関節前面)
- ふくらはぎ・アキレス腱
STEP3|入浴と睡眠(湯船に10分以上+8時間睡眠)
吉澤トレーナーが「回復の最優先事項」として挙げるのが睡眠です。「アスリートは8時間以上の睡眠がパフォーマンス向上に繋がる。大谷翔平選手が睡眠を最重視しているのも、それだけ回復効果が高いから」。
睡眠の質を高めるために:
- 寝る90分〜2時間前からスマートフォン・PCのブルーライトを避ける
- 入浴(シャワーではなく湯船)で深部体温を上げ、就寝時に体温が下がる流れを作る
- 室温を18〜22℃に保つ
STEP4|食事:タンパク質+糖質を毎食意識する
ランナーが最も不足しがちな栄養素はタンパク質と糖質の2つです。「プロテインを1回にたくさん飲めばいい」は間違いで、一度に大量摂取しても吸収しきれません。毎食で手のひらサイズの肉・魚(約20g相当)+卵や納豆などのタンパク源を2品追加するイメージで摂取しましょう。
また、レース3週間前からは鉄分不足にも注意。体がだるい・心拍数が上がりやすいと感じたら、赤身の肉・あさり・ほうれん草などを意識的に摂り、ビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が上がります。
レース当日の朝にやるべきこと・絶対にやってはいけないこと
3週間かけて体を仕上げても、当日の朝の過ごし方で台無しになることがあります。森田コーチが強調する当日の鉄則は、「普段と変わったことをしない」という一点に尽きます。
当日の朝にやるべきこと
- トイレをしっかり済ませる(お腹のトラブルはレース最大のリスク)
- レース3時間前には食事を終える(消化のいいもの:おにぎり・バナナ・うどんなど)
- 水分を200mlずつこまめに補給(一気飲みは胃に負担をかける)
- 軽いウォームアップ(動的ストレッチ10分+軽いジョグ5分)
当日の朝にやってはいけないこと
- 試したことのない食べ物・補給ジェルを初めて使う(胃腸トラブルの最大原因)
- 体を冷やしすぎる(冬のレースでは特に注意)
- 会場で立ちっぱなし・歩き回りすぎる(スタート前に脚を疲弊させない)
- 周囲のランナーのペースに合わせてスタートから飛ばす
まとめ:3週間前からの正しい準備が「完走」を確実にする
マラソンの結果は、レース当日ではなくスタートラインに立つまでの3週間で決まります。
- 追い込み練習は2週間前までに終わらせる
- 走行距離を段階的に削減してテーパリングを実施する
- 動的ストレッチ→クールダウン→入浴→睡眠のデイリーケアをルーティン化する
- タンパク質・糖質・鉄分を毎食意識して摂取する
- 当日は「普段と変わったことをしない」を徹底する
森田コーチが最も大切にしていること——それは「体が万全の状態でスタートラインに立つこと」です。どんなに練習を積んでも、疲労が抜けていない状態では実力の60%も出せません。
大会に向けたトレーニングの組み立て方やケアの方法について、もっと具体的なアドバイスが必要な方は、インターバル走の正しい取り入れ方5ステップもあわせて参考にしてください。Sterling Squadでは、森田コーチ(元青学ランナー)と吉澤フィジカルトレーナー(五輪帯同経験)が二人三脚で、あなたのゴールテープをサポートします。

