自己ベスト更新へ|乳酸閾値を高める週2回のペース走メニュー

「インターバルは頑張っているのに、レース後半でペースが落ちる」「閾値走をやっているつもりが、実は速すぎたり遅すぎたりしている」——サブ3や自己ベスト更新を狙う段階になると、こうした“質の練習の精度”が結果を分けます。この記事を読むと、乳酸閾値(LT)を効率よく引き上げる週2回のペース走の組み立て方が、ペース設定表つきで具体的にわかります。青学OB・箱根駅伝2区区間賞ランナーの森田歩希が直接指導するSterling Squadの視点で解説します。

乳酸閾値(LT)とは?まず定義を押さえる

乳酸閾値(LT)とは、血中の乳酸が急激に増え始める運動強度のこと。この“ギリギリ耐えられるペース”を引き上げるほど、より速いスピードを長く維持できるようになります。マラソンの後半失速を防ぎ、自己ベストを更新するうえで最も投資効果が高い能力のひとつです。

この閾値を鍛える中心的な練習が、レースペース前後で一定時間走り続ける「閾値走・ペース走」です。ただし、多くのランナーが“やり方”を誤って効果を取りこぼしています。

なぜ「週2回・同じ強度」では伸びないのか

週2回のペース走で最もありがちな失敗が、2回とも同じように追い込んでしまうことです。森田コーチが繰り返し指摘するのは、練習は「強弱」で組み立てるという原則です。

休まないといけないわけでも、ハードにやらないといけないわけでもない。しっかりと強弱を持って練習することが重要。
— 森田 歩希コーチ(青学OB・箱根駅伝2区区間賞/Sterling Squad)

ペース走でよくある間違いは、①頻度が多すぎる ②ペースが遅くて閾値に届いていない ③逆に速すぎて後半バテる、の3つ。だからこそ週2回は「強い1本」と「リズムを作る1本」に役割を分け、メリハリをつけるのが正解です。

週2回のペース走メニュー【強弱で組む】

セッションA(強):20分の閾値走で“天井”を押し上げる

  • 20分間の持続走を1〜2本(2本の場合はつなぎジョグ90秒)
  • 強度は「ややきつい/会話が途切れがち」。5kmレースペースより“少し遅い”のが目安
  • 目的は、乳酸をさばける上限(=閾値)そのものを引き上げること

セッションB(弱):8〜12kmのペース走でリズムを固める

こちらは追い込む練習ではありません。森田コーチの基準では、ペース走はレースの「中間走」を意識し、レースペースより1kmあたり15〜20秒遅いくらいで十分。走りのリズムと効率を体に覚えさせるのが狙いです。

ペース設定の目安(サブ3=4:15/km想定)

種目 ペース目安
5kmレースペース(参考) 3:40〜3:45/km
A:閾値走(強) 4:00〜4:05/km 20分×1〜2本
B:ペース走(弱) 4:20〜4:35/km 8〜12km
マラソンレースペース(参考) 4:15/km

※閾値走は5kmレースペースより“遅い”のが正しい強度です。ここが逆転していると速すぎのサインなので必ず確認しましょう。目標タイムが違う方は、ご自身の5kmベストを起点に同じ差分で調整してください。

1週間の配置例

  • 月:完全休養、または軽いジョグ
  • 火:セッションA(閾値走)
  • 水・木:目的を持ったジョグ
  • 金:セッションB(ペース走)
  • 土:ジョグ 日:ロング走(レースペース−30〜40秒/km)

効果を最大化する3つの注意点

  • ペースを“守る”:速すぎても遅すぎても閾値は鍛えられません。GPSで1kmごとに確認を。
  • つなぎを長引かせない:閾値走のリカバリーは短く(90秒ジョグ)。休みすぎると刺激が抜けます。
  • 単体で完結させない:ペース走だけでは伸びません。ジョグ・ロング走との組み合わせと、8時間睡眠での回復までがセットです。

よくある質問(FAQ)

Q. インターバルとペース走、どちらを優先すべき?

どちらも必要です。森田コーチの週3ポイントの理想割合は「インターバル1.5・ペース走0.5・ロング1」。スピードの天井をインターバルで、維持力をペース走で伸ばすイメージです。

Q. 閾値走のペースはどう決めればいい?

直近の5kmベストを基準に、そこから少し遅いペース(表参照)から入り、20分を「ややきつい」で走り切れる強度に微調整します。

Q. 週2回とも追い込むべき?

いいえ。強弱をつけるのが原則です。2回とも全力にすると回復が追いつかず、故障や失速の原因になります。

Q. 効果が出るまでどのくらい?

個人差はありますが、正しい強度で継続すれば4〜6週間でペース感覚と後半の粘りに変化が出やすくなります。

まとめ

乳酸閾値は、自己ベスト更新に直結する“伸びしろ”です。ポイントは、週2回を同じ強度で消化するのではなく、「強い閾値走」と「リズムを作るペース走」に役割を分けて強弱をつけること。ペースを守り、回復まで含めて設計すれば、練習は必ず結果に変わります。今日から一本、精度の高いペース走を始めてみましょう。

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この記事の監修・執筆

Sterling Squad コーチ陣。青学OB(青山学院大学出身)で箱根駅伝2区区間賞のランナー・森田歩希が直接指導し、オリンピック帯同経験のあるフィジカルトレーナー・吉澤和宏が監修。長野・東京・埼玉を拠点に、ランニング指導・コンディショニング情報を発信しています。