マラソン1週間前の刺激走と疲労抜き|完走率を上げる最終調整5ステップ
「1週間前にまだ追い込んだ方がいいのか、それとも休むべきか——」レース直前のこの迷いで失敗するランナーが後を絶ちません。この記事を読めば、マラソン1週間前に何をすべきか・何をしてはいけないかが5つのステップで明確になります。元青学ランナーの森田コーチと、五輪帯同経験を持つ吉澤フィジカルトレーナーのノウハウをもとに、疲労を抜きながら体の「戦闘態勢」を整える最終調整法を解説します。
なぜ「1週間前の追い込み」が完走を台無しにするのか?
森田コーチは断言します。「追い込み練習は遅くとも10日前、理想は2週間前までに終わらせること。1週間前の追い込みは体の疲労が取れないままスタートラインに立つことになり、確実にレース結果に悪影響が出ます」。
フルマラソンは42.195kmという長丁場。練習の成果はレース1週間前の段階ですでに体に蓄積されているため、今から追い込んでも上積みはほぼゼロ。むしろ筋疲労・関節への負荷だけが残り、スタート時点でパフォーマンスが低下します。
では「何もしないで休む」が正解かというと、それも違います。完全休養が続くと体の「走るスイッチ」が入らなくなるため、ここで登場するのが「刺激走」という概念です。
STEP 1|刺激走の目的を正しく理解する
刺激走とは、体を完全に休ませず「レースモード」を維持するために行う短時間・高強度の走りのことです。疲労を蓄積するためではなく、神経系・筋肉系を適度に「起こしておく」ための走りです。
刺激走の正しい距離・ペース・本数
- 距離:3〜5km程度(長くても6km)
- ペース:目標レースペースより5〜10秒/km速い設定
- 本数:1〜2本(インターバル形式なら400m×3〜4本が目安)
- 実施日:レースの5〜7日前に1回
刺激走でやってはいけないこと
- レース3日前以降に高強度走を入れる(疲労が抜けない)
- 「もう1本いけそう」と本数を増やす
- 終盤バテバテになるペース設定で走る
森田コーチが青学で体得した「形になる練習を意識する」という視点がここでも生きます。刺激走は「気持ちよく走れた」で終わるのが正解。疲弊したら目的が崩れています。
STEP 2|レース1週間前の理想的な週間スケジュール
強弱のある練習配分が最終調整の核心です。以下は日曜レースを想定した1週間の目安スケジュールです。
月〜日のスケジュール例
- 月曜(レース7日前):軽いジョグ30〜40分(ゆっくり、会話できるペース)
- 火曜(レース6日前):刺激走——レースペース+5秒/kmで4km、または400m×4本
- 水曜(レース5日前):完全休養 or 軽いウォーキング・水泳など
- 木曜(レース4日前):ジョグ20〜30分(とにかく短く、余力を残す)
- 金曜(レース3日前):完全休養 or 10〜15分の軽いジョグのみ
- 土曜(レース前日):10〜15分の超軽ジョグ+動的ストレッチのみ
- 日曜(レース当日):スタート
森田コーチが強調するのは「休養日は完全にだらけるより、軽く動いた方が疲労が抜ける」という点。水曜の完全休養日も、水泳や散歩など「ランニングのインパクトをかけない運動」にするのがベストです。
STEP 3|疲労を抜くために必ずやるべき3つのケア
①睡眠を最優先にする(最重要)
吉澤フィジカルトレーナーは「疲労回復の最も効果的な手段は睡眠」と断言します。アスリートは8時間以上の睡眠がパフォーマンス向上に繋がるとされており、レース1週間前は特に就寝時間を30分〜1時間早める意識を持ちましょう。寝る90分前からスマートフォンのブルーライトを避けることも睡眠の質を高める具体的な方法です。
②電解質を含む水分補給を習慣化する
「水だけでは不十分。電解質も補給する必要があります」と吉澤トレーナーは指摘します。汗をかくと電解質(ナトリウム・カリウム等)も同時に失われるため、水だけを大量に飲むと体内のバランスが崩れます。スポーツドリンクや経口補水液を活用し、こまめな補給(1回200ml程度)を心がけましょう。
③クールダウンと静的ストレッチを毎日行う
軽いジョグの後は必ずクールダウンジョグで心拍を落とし、その後に静的ストレッチを行います。吉澤トレーナーが特に重視するのは、股関節の柔軟性。「股関節が固いと膝や足首への負担が増し、怪我の引き金になる」ため、股関節を大きく動かすストレッチを重点的に行います。加えて入浴(湯船につかる)を習慣化することで疲労回復が促進されます。
STEP 4|カーボローディングは「2〜3日前から」が正解
レース前のカーボローディング(糖質の蓄積)は、レースの2〜3日前から始めるのが基本です。1週間前から急に食事量を増やすと内臓への負担・体重増加・消化不良を招きます。
- レース3〜2日前:普段より白米・うどん・パスタの割合を増やし、脂質の多い食事を控える
- レース前日:消化のいい炭水化物中心(うどん・おにぎりなど)。夕食は就寝3時間前までに済ませる
- レース当日朝:レース3時間前までにしっかりした食事を完了。直前は消化のいいエネルギー源(バナナ・ゼリー等)を少量摂取
吉澤トレーナーが繰り返し強調するのは「体が万全の状態でスタートラインに立てるか」。42kmは長丁場。食事のミスだけでもレース当日のパフォーマンスが大きく変わります。
STEP 5|レース前日・当日にやってはいけないこと3選
森田コーチが「体が万全の状態でスタートラインに立つことが最優先」と語る通り、前日・当日のミスが42kmのレースを台無しにするケースは非常に多いです。
やってはいけないこと
- 普段やらないことを「当日だから」とやってしまう
新しいシューズを初めて履く・普段食べない食事を試す・急に大量のストレッチをするなど。「前日・当日は普段と変わったことをしない」が鉄則です。 - 会場での長時間立ち/歩きを放置する
レース会場に早く着いて長時間立ちっぱなしになると筋肉が固まります。荷物を預けたらできるだけ座って休み、スタート前の軽いウォームアップまで体を温存しましょう。 - レース序盤から突っ込みすぎる
「最初のきつさはメンタルの問題。本当の限界は後から来る」と森田コーチは言います。逆に序盤の「楽すぎる」感覚は正常です。設定ペースを守り、後半に余力を残すことが完走への最短ルートです。
まとめ:レース1週間前は「引き算」で完走率が上がる
レース1週間前の最終調整は「何を加えるか」より「何を引くか」で決まります。追い込み練習をやめ、刺激走1回で体のスイッチを維持しながら、睡眠・電解質・股関節ケアで疲労を徹底的に抜く——この5ステップが完走と目標タイム達成への確実な道です。
森田コーチが青学で体得した「練習の強弱こそが結果を決める」という考え方は、レース直前の1週間でも変わりません。頑張るべき時期は終わった。今週は「抜く」に徹しましょう。
フルマラソンのペース配分や補給タイミングについては、こちらの記事「フルマラソンのペース配分完全ガイド」も合わせてご覧ください。スタートラインに万全の状態で立てることを願っています。

