週末ロング走のカーボローディング3ステップ|箱根駅伝2区区間賞コーチの補給早見表

「週末のロング走は、20kmを過ぎると急に脚が止まる」「秋のフルマラソンに向けて距離を踏みたいのに、毎回後半がボロボロになる」。金曜日の夜、そんな不安を抱えていませんか?

先に答えを言います。後半に失速するのは、根性が足りないからではありません。原因は「走る前と走っている最中の糖質」と「入りのペース」です。この記事では、前日の夕食・当日の朝・走行中の補給の3ステップに分け、何をいつ食べればいいかを早見表にまとめました。最後には、そのまま使えるチェックリストも付けています。今週末のロング走から試せます。

解説は、青学OB(青山学院大学出身)で箱根駅伝2区区間賞の森田歩希コーチです。栄養と補給の部分は、五輪帯同トレーナーの吉澤和宏が監修しています。

この記事でわかること

  • ロング走の後半に失速する2つの原因
  • 前日夕食・当日朝・走行中の「何を・いつ・どれだけ」
  • 目標タイム別のロング走ペース表(サブ3.5〜サブ5)
  • 金曜夜〜日曜朝のタイムラインと持ち物チェックリスト

なぜロング走の後半に失速するのか?2つの原因

後半の失速は、ほとんどの場合、次のどちらか、または両方が原因です。

  1. エネルギー切れ:走る前に糖質が足りていないうえ、走っている途中でも補給していない
  2. 入りのペースが速すぎる:前半に力んでしまい、脚を使い切っている

後半に失速する選手を見るとき、森田コーチがまず確かめるのは「エネルギーを定期的に補給できているか」です。練習量を増やす前にこの2つを直したほうが、早く結果が出ます。ここからは、まずエネルギー切れを防ぐ3ステップを紹介し、そのあとでペースの話をします。

STEP1:前日の夕食は「主食を1品多く・脂と繊維は控えめ」

まず、よくある誤解を1つ正しておきます。週末のロング走のために、前日に大食いする必要はありません。何日もかけて糖質をため込む本格的なカーボローディングは、フルマラソン本番のための方法です。練習のロング走なら、前日の夕食を少し工夫するだけで十分です。

  • 主食を増やす:ごはんをいつもよりお茶碗1杯多めにする、うどんやパスタを1品足す
  • おかずは消化のいいタンパク質:鶏むね肉、魚、卵、豆腐など
  • 控えるもの:揚げ物、脂の多い肉、食物繊維の多すぎる食事、生もの、アルコール
  • 時間:寝る3時間前までに食べ終えて、睡眠の質を落とさない

吉澤トレーナーによると、ランナーに特に足りなくなりやすい栄養素は「タンパク質」と「糖質」です。前日は糖質を中心にしつつ、タンパク質も手のひらサイズの肉か魚で1品とっておきましょう。

STEP2:当日の朝は「スタート3時間前」が基本

吉澤トレーナーが勧めるのは、スタートの3時間前に、消化のいいものをしっかり食べることです。それより後は、内臓に負担をかけない軽いエネルギー源を少しずつとります。

タイミング 食べるもの(例)
3時間前 おにぎり2個、または餅・うどん・食パン+はちみつ
1時間前 バナナ1本、カステラ、ゼリー飲料など
直前まで 水やスポーツドリンクを200mlずつ、こまめに

朝が早くて3時間前に食べられない日は、1〜1.5時間前にバナナやおにぎり1個を軽く食べるだけでも違います。朝ごはんを抜いて走り出すのは、後半の失速にいちばん直結するパターンです。

STEP3:走行中は「60分を過ぎたら30〜45分ごと」に補給する

90分を超えるロング走では、走る前にどれだけ食べても途中でエネルギーが足りなくなります。目安は次のとおりです。

  • 糖質:走り始めて60分を過ぎたら、30〜45分ごとにエネルギージェルを1本(1時間あたり糖質30〜60gが目安)
  • 水分:水だけでは足りません。汗で失われる電解質も一緒に補うため、スポーツドリンクを選びましょう(吉澤トレーナー)
  • コツ:「お腹がすいた」「脚が重い」と感じてからでは遅いので、時間を決めて機械的にとる

ロング走は、本番で使う補給食をお腹で試す「リハーサル」でもあります。レース当日に初めてのジェルを使うと、お腹を壊す原因になります。

目標タイム別|ロング走は「レースペース+30〜40秒」で走る

補給を整えても、入りが速すぎると後半は持ちません。森田コーチが勧めるロング走のペースは、レースペースより1kmあたり30〜40秒遅いペースです。追い込む練習ではなく、長い距離を走れる体をつくる練習だと考えてください。

目標タイム レースペース ロング走ペース
サブ3.5 4:58/km 5:28〜5:38/km
サブ4 5:41/km 6:11〜6:21/km
サブ4.5 6:23/km 6:53〜7:03/km
サブ5 7:06/km 7:36〜7:46/km

森田コーチが箱根駅伝の2区・3区で区間賞をとったときも、勝ちパターンは「前半は力まずに入り、後半で差をつける」でした。ロング走でも同じで、最初の5kmは「少し物足りない」と感じるくらいがちょうどいいペースです。慣れてきたら、30km走の最後の2.195kmだけをレースペースで走る練習を加えると、30kmの壁への備えになります。

金曜夜〜日曜朝のタイムライン早見表

日曜の朝7時にスタートする場合の例です。スクリーンショットを撮って、週末の計画に使ってください。

いつ やること
金曜夜 ジェルとスポーツドリンクを買っておく。コースと給水できる場所を決める
土曜夜 主食多めの夕食。21時までに食べ終え、早めに寝る
日曜4:00 おにぎり2個などで朝食(3時間前)
日曜6:00 バナナ1本。水分を200mlずつとる
日曜7:00〜 ロング走スタート。8:00以降は30〜45分ごとにジェル

よくある質問

Q. 20km以下のロング走でもジェルは必要ですか?

走る時間が90分以内で、朝食をきちんと食べているなら、なくても走りきれることが多いです。90分を超えるなら持っていきましょう。

Q. ダイエット中でも糖質をとるべきですか?

はい。ロング走の前後に糖質を抜くと、練習の質が下がるうえ、疲れも抜けにくくなります。量を調整するなら、ロング走のない日の食事で行ってください。

Q. 走ったあとは何を食べればいいですか?

糖質とタンパク質を一緒にとるのが基本です。おにぎりと牛乳、親子丼などがとりやすい組み合わせです。そのあとはストレッチと入浴をして、夜はしっかり眠りましょう。

まとめ:今週末のロング走チェックリスト

  • □ 前日の夕食は主食を1品多く、揚げ物とお酒は控えた
  • □ スタート3時間前(難しければ1時間前)に糖質をとった
  • □ ジェルを「60分以降、30〜45分ごと」の本数だけ持った
  • □ 水ではなくスポーツドリンクを用意した
  • □ ロング走ペース(レースペース+30〜40秒)を確認した

後半に失速すると「自分には才能がない」と思いがちです。でも多くの場合、足りないのは才能ではなく、準備の順番です。今週末はこのチェックリストを使って、最後まで脚が動く感覚を一度体験してみてください。その1回が、秋のレースへの自信になります。

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