陸上部の練習前に毎日5分|フォームが変わるスピードドリル6選
「毎日ちゃんと練習しているのに、タイムが伸びない」「同じメニューをこなしているライバルに、なぜか勝てない」。部活でがんばる中高生ランナーから、こうした相談をよく受けます。
結論から言うと、差がつくのは練習量ではなく「スピードが出るフォーム」が身についているかどうかです。この記事では、青学OB・箱根駅伝2区区間賞ランナーの森田歩希コーチが中高生に教えている考え方をもとに、練習前のたった5分でできるスピードドリル6種を、順番と時間配分つきで紹介します。
なぜ中高生は「走り込み」より5分のドリルが効くのか?
「たくさん走れば速くなる」と思われがちですが、中学生の最長種目は3000m。速く走るのに大量の走り込みは必要ありません。むしろ大切なのは、少ない力で前に進む動きを体に覚えさせることです。
中高生は距離を踏むより、スピードの出る走りを身につけることが大事です。動的ストレッチやドリルといった基礎を正しく身につけると、少ない練習量でもスピードが出るようになります。
— 森田 歩希コーチ(青学OB・箱根駅伝2区区間賞/Sterling Squad)
練習前5分でできるスピードドリル6選
ジョグで体を温めたあと、次の順番で行います。前半3つで「動く準備」、後半3つで「走りの形づくり」をする流れです。
1. レッグスイング(股関節を動かす)
- 壁に手をつき、脚を前後に大きく振る。左右各10回
- 上半身を倒さず、脚だけが振り子のように動くのが正解
2. 肩甲骨回しの腕振り
- 肘を90度に曲げ、肩甲骨から前後に大きく振る。20回
- 手先ではなく「背中で振る」意識を持つ
3. 胸椎ツイスト
- 両腕を胸の前で組み、骨盤を正面に向けたまま胸だけを左右にひねる。各10回
ウォームアップの動的ストレッチで特に動かしたいのは、肩甲骨周り・股関節・背骨の胸椎の3か所です。ここが動くと、膝下に頼らない走りになり、ケガの予防にもつながります。
— 吉澤和宏トレーナー(五輪帯同フィジカルトレーナー/Sterling Squad)
4. もも上げ(腰の高さをつくる)
- 20mを細かいリズムで前進。腰が落ちないよう、頭から真上に引っ張られるイメージ
5. Aスキップ(接地のリズムをつかむ)
- スキップしながら、ももを上げて真下に足を下ろす。20m×1本
- 体の真下で接地し、地面からの反発をもらう
6. ドリルからの加速走(走りにつなげる)
- もも上げ10m→そのまま40m加速。8割程度の力で1本
- ドリルの動きを「走り」に移すのがいちばん大事なポイント
5分で終わる時間配分の目安
| ドリル | 回数・距離 | 目安時間 |
|---|---|---|
| レッグスイング | 左右各10回 | 50秒 |
| 肩甲骨回しの腕振り | 20回 | 30秒 |
| 胸椎ツイスト | 左右各10回 | 40秒 |
| もも上げ | 20m+戻り | 50秒 |
| Aスキップ | 20m+戻り | 50秒 |
| ドリルからの加速走 | 50m×1本 | 60秒 |
| 合計 | — | 約5分 |
効果を落とすNGポイント3つ
- 回数をこなすだけになる:腰の高さと体の軸がブレていないかを毎回確認する
- ドリルで疲れ切る:あくまで本練習の準備。強度を上げすぎず、メイン練習との強弱をつける
- ドリルと走りが別物になる:最後の加速走で、ドリルの動きのまま走れているかをチェックする
まとめ:毎日の5分が、ライバルとの差になる
スピードドリルは、1回で劇的に変わるものではありません。でも、毎日の練習前に5分続ければ、1か月後には「同じ力で前に進む感覚」が必ず変わってきます。がむしゃらに量を増やす前に、まずは正しい方向に努力することから始めてみてください。自分のフォームが正しいか不安な人は、一度プロの目で見てもらうのも近道です。

