中高生の陸上部1週間練習メニュー表|青学元主将が教える強弱の組み方

「毎日練習しているのにタイムが伸びない」「ラスト100mでいつも競り負ける」。部活でこう悩む中高生ランナーはたくさんいます。多くの場合、原因は努力不足ではありません。1週間の練習の「並べ方」にあります。

先に結論です。中高生は走る量を増やすより、「フォームをつくる日」「スピードを出す日」「体を回復させる日」に強弱をつけたほうが速くなります。この記事では、森田歩希が長野・東京・埼玉の練習会で実際に使っている1週間のメニュー表を公開します。森田は青学OB(青山学院大学出身)で、箱根駅伝2区区間賞を獲得し、4年時には主将を務めました。補強運動は、五輪帯同トレーナーの吉澤和宏が監修しています。

この記事でわかること(約5分で読めます)

  • 部活でそのまま使える1週間のメニュー表(中学・高校別の目安つき)
  • ドリル5種・補強3種をどの曜日に入れるか
  • 記録が止まる中高生に多い週の組み方の失敗3つと、30秒でできるセルフチェック

練習の「強弱」とは? スピードを出すきつい日(強)と、ジョグや補強で回復する軽い日(弱)を交互に並べることです。きつい練習を連日続けるより、間に回復をはさんだほうが練習の効果が体に残ります。

なぜ中高生は「走り込み」より「強弱」が先なのか?3つの理由

  1. レースの距離が短いから:中学生は最長3000m、高校生でも10km程度です。20〜30kmを走り込む必要は基本的にありません。
  2. 走り込みすぎると将来の伸びしろが削られるから:中学で距離を踏みすぎて、高校・大学で伸び悩む選手がいます。陸上が嫌いになって辞めてしまう選手もいます。森田コーチはそうしたケースを数多く見てきました。
  3. フォームが整えば、少ない練習量でもスピードが出るから:森田コーチの考えは「まずドリルでスピードの出るフォームを身につけ、その上で坂ダッシュやショートダッシュを入れる」です。この順番を守るだけで、スピード練習が苦手な選手も自然と速い動きについていけるようになります。

【保存版】中高生の1週間練習メニュー表(強弱つき)

試合がない「通常週」の例です。「強」の日を連続させないことが最大のポイントです。

曜日 強弱 メニュー 中学の目安 高校の目安
月 弱 休養 or 軽いジョグ+ストレッチ 休養 or 20分 30〜40分
火 強 ドリル5種+流し+坂ダッシュ 坂80〜100m×5〜8本 坂100〜150m×8〜10本
水 弱 ジョグ+補強3種 30分 40〜50分
木 強 インターバル(レースペース以上) 1000m×3本 1000m×4〜5本
金 弱 ジョグ+ドリル(動きの確認) 20〜30分 40分
土 中 ペース走 or やや長めのジョグ 40〜50分 60分前後
日 弱 完全休養 or 補強3種のみ 休養 休養 or 補強

試合がある週は、試合を「強」の1回と数えます。木曜を流し数本の軽めの練習に変え、試合の2日前から「弱」を続けて体を整えましょう。ペース走は、レースペースより1kmあたり15〜20秒遅い程度で十分です。追い込むためではなく、リズムをつかむための練習です。

ドリル5種は火・金の練習前10分に入れる

森田コーチが長野の練習会で特にこだわっているのが、「ただ練習させるのではなく、ドリルでスピードの出る走りの基礎をつくること」です。各20〜30mを2本ずつ行います。

  • もも上げ:腰を高く保ち、真下に接地する
  • スキップ:地面を押す反発を感じる
  • バットキック:かかとをお尻へ素早く引きつける
  • ギャロップ(横向きスキップ):股関節を左右に大きく動かす
  • 腕振りドリル:肩甲骨から肘を後ろへ引く

火曜は坂ダッシュの前に入れて「速く走る動き」を準備します。金曜は軽いジョグの後に入れて、フォームの確認に使います。目的が違うので、同じドリルでも意識するポイントが変わります。

補強3種は水・日に入れる(五輪帯同トレーナー監修)

吉澤トレーナーによると、ランナーに最も多い膝下・ふくらはぎの故障は、股関節がうまく動かないことが根本原因になりやすいそうです。そこで、股関節と体幹を中心に鍛えます。

  1. ヒップリフト(15回×2セット):お尻ともも裏を鍛え、地面を押す力をつける
  2. サイドプランク(左右30秒×2セット):着地で骨盤がぶれないようにする
  3. フォワードランジ(左右10回×2セット):股関節に乗る感覚をつかむ

成長期は骨が伸びている途中なので、関節に強い負担がかかる重いウエイトは避けます。自重で、正しいフォームのままできる回数にとどめてください。

記録が止まる中高生に多い「週の組み方」の失敗3つ

失敗1:「強」の日が2日以上続いている

インターバルの翌日にまたタイム走、という並びです。疲れた状態ではレースペースまで上げられず、ただ「きついだけ」の練習になります。

失敗2:ジョグの目的がない

森田コーチが全レベルのランナーに伝えているのは「ジョグを毎回、目的をはっきりさせてやる」ことです。回復のためのジョグをみんなで競い合ってしまうと、「弱」の日が「強」の日に変わってしまいます。

失敗3:ドリル・補強を「時間が余ったら」にしている

走る練習だけを増やしてもフォームは変わりません。ドリルと補強は曜日を決めて先に予定に入れるのが、続けるためのコツです。

30秒セルフチェック:あなたの1週間は大丈夫?

  • □ 「強」の日が週に2〜3回で、連続していない
  • □ インターバルはレースペース以上で走れている
  • □ ジョグの日に「今日は回復のため」と言える
  • □ ドリルと補強をやる曜日が決まっている
  • □ 歩くと痛い、または片足ジャンプで痛む箇所がない

チェックが3つ以下なら、まず「強」を連続させない並べ替えから始めましょう。最後の項目に当てはまらない(痛みがある)場合は、練習より休養を優先してください。

よくある質問

Q. 部活のメニューが決まっていて、自分では変えられません。

A. 全体練習は変えずに、ジョグの日のペースを本当に軽くするだけでも強弱はつけられます。ドリルはアップの中で取り入れましょう。

Q. 毎日走らないと不安です。

A. 練習の効果は、回復しているあいだに体へ定着します。休養日は水泳や散歩など、着地の衝撃がない運動で軽く体を動かすと疲れが抜けやすくなります。

Q. 中学生でもインターバルをやっていいですか?

A. 週1回、本数を少なめにすれば問題ありません。それより先に、ドリルで正しいフォームを身につけることを優先してください。

保護者・顧問の先生へ

森田コーチが保護者の方に一番伝えたいのは、「大人の期待で練習を強制しないこと」です。中高生の時期に大切なのは、楽しく続けながら、スピードの出る走りの土台をつくることです。それが高校・大学での伸びにつながります。

まとめ:今週は「並べ方」を1つ変えるだけでいい

練習量を増やす前に、強弱の並べ方・ドリルの曜日・補強の曜日の3つを見直しましょう。メニュー表をスクリーンショットして、今週の練習と見比べてみてください。正しい方向の努力は必ずタイムに表れます。

Sterling Squadで専門的に相談する

「自分の場合はどう組めばいい?」という中高生・保護者の方へ。長野・東京・埼玉の練習会で、箱根駅伝2区区間賞の森田コーチがドリルからフォームを直接見ます。

この記事を書いた人:森田歩希 青山学院大学出身。箱根駅伝で2区区間賞、3区で当時の区間新記録を出し、総合優勝を2回経験。4年時には主将を務めた。現在はSterling Squadで中高生から市民ランナーまでを直接指導している。補強運動は五輪帯同トレーナー・吉澤和宏が監修。