サブ3のための乳酸閾値インターバル3ステップ|箱根駅伝2区区間賞コーチのペース表・週間メニュー付き
インターバル走もペース走も週に何回かやっている。それなのに、レース後半になると脚が止まってサブ3に届かない。そんな悩みがある方に向けた記事です。
先に結論を書きます。足りないのは練習量でも根性でもありません。「乳酸閾値(LT)」を上げる順番で練習を組むことです。同じ本数を走っていても、強度と順番を変えるだけで、レースペースの余裕度は大きく変わります。
書いているのは、青学OB(青山学院大学出身)で箱根駅伝2区区間賞の森田歩希です。長野・東京・埼玉のランニングクラブSterling Squadで市民ランナーを直接指導しており、内容は五輪帯同トレーナーの吉澤和宏が監修しています。記事の最後には、そのまま使えるペース表と1週間のメニューを載せています。
この記事でわかること
- 乳酸閾値とは何か、なぜサブ3に直結するのか(1分で読める定義)
- 市民ランナーの8割が間違えている「ペース走のペース」
- 乳酸閾値を上げるインターバル3ステップと具体的なペース表
- そのまま使える2週間サイクルの練習メニュー
乳酸閾値(LT)とは?サブ3に必要な理由を1分で解説
乳酸閾値(LT)とは:血中の乳酸が急に増え始める運動強度の境目のこと。このペースより遅ければ長く走り続けられ、超えると疲労が一気に進む。市民ランナーでは、おおむね「1時間全力で走り続けられるペース」が目安になる。
サブ3に必要な平均ペースは1kmあたり4分15秒以内です(3時間÷42.195km=約4分16秒)。
- 乳酸閾値ペースが4分15秒付近:レースペースがほぼ限界の強度。後半にペースを保つのは難しくなります。
- 乳酸閾値ペースが4分00〜05秒前後:レースペースが閾値より10秒以上余裕のある強度になり、終盤まで粘れる体になります。
つまりサブ3の練習で目指すのは、「4分15秒で頑張る」ことではなく、「4分15秒を楽に感じる体をつくる」ことです。では、どうすれば閾値が上がるのでしょうか。その前に、多くの方がつまずいている落とし穴を確認しておきます。
サブ3が遠のく3つの間違い|ペース走は「速すぎ」が一番多い
指導の現場で本当によく見かけるのが、次の3つです。
- ペース走をレースペースかそれ以上で走っている
ペース走の目的は、レースの「中間走」のリズムを体に覚えさせることです。追い込む練習ではありません。設定はレースペースより15〜20秒遅い4分30〜35秒で十分です。毎回タイムトライアルのように走ると疲労が抜けず、肝心のインターバルの質が落ちます。 - インターバルのペースが「中途半端」
インターバルはレースペース以上のスピードで、短い距離を分割して走る練習です。4分15秒より遅いと刺激が足りません。反対に速すぎると、後半にバテてリカバリーばかり長くなります。 - ポイント練習の頻度が多すぎる
強い練習を週4回以上入れると、どれも「こなすだけ」になりがちです。ポイント練習は週3回が上限。強弱をつけることで、1回あたりの質が上がります。
森田が青学時代から大切にしてきたのは、「形になる練習」をすることです。設定ペースで最後の1本まで揃えて走り切れて、初めてその練習は体に残ります。この考え方を前提に、3つのステップを見ていきましょう。
乳酸閾値を上げるインターバル3ステップ【ペース表付き】
各ステップの目安は3〜4週間です。「前のステップの練習を設定ペースで余裕をもって走り切れたら次へ」が進む基準です。
STEP1:ペース走で「閾値の土台」をつくる(3〜4週間)
- メニュー:12〜16kmペース走
- ペース:4分30〜35秒/km(レースペース+15〜20秒)
- ポイント:会話が途切れ途切れにできる程度。ラスト2kmで上げたくなっても、設定を守ります。
STEP2:ロングインターバルで閾値付近に刺激を入れる(3〜4週間)
- メニュー:2000m×4本(つなぎ400mジョグ・約2分)
- ペース:4分00〜05秒/km(1本あたり8分00〜10秒)
- ポイント:乳酸閾値ペースそのものを分割して走り、閾値を直接押し上げる練習です。4本目が一番速くなるくらいの余裕が理想です。
STEP3:レースペース以上のインターバルで余裕度をつくる(3〜4週間)
- メニュー:1000m×6〜8本(つなぎ200mジョグ・60〜90秒)
- ペース:3分50〜55秒/km
- ポイント:最終本が1本目より5秒以上落ちたら、設定が速すぎるサインです。本数を減らすより、ペースを5秒緩めて「全本揃える」を優先してください。
サブ3向けペース早見表
| 練習 | 設定ペース/km | 基準 |
|---|---|---|
| ジョグ | 5分00〜5分30秒 | 目的を決めてゆっくり |
| ロング走(30〜40km) | 4分45〜4分55秒 | レースペース+30〜40秒 |
| ペース走(12〜16km) | 4分30〜4分35秒 | レースペース+15〜20秒 |
| レースペース | 4分15秒 | サブ3の平均ペース |
| 2000mインターバル | 4分00〜4分05秒 | 乳酸閾値ペース |
| 1000mインターバル | 3分50〜3分55秒 | レースペース−20〜25秒 |
そのまま使えるサブ3の週間メニュー(2週間サイクル)
週間練習の基本は、ジョグ週3回・インターバル週1〜2回・ペース走週0〜1回・ロング走週1回・完全休養週1回です。ポイント練習が週3回なら、理想の割合はインターバル1.5回・ペース走0.5回・距離走1回。これを2週間で回すと、次のようになります。
| 曜日 | A週 | B週 |
|---|---|---|
| 月 | 完全休養 | 完全休養 |
| 火 | インターバル(各STEPのメニュー) | インターバル(各STEPのメニュー) |
| 水 | ジョグ60分 | ジョグ60分 |
| 木 | ジョグ40分+流し3本 | ジョグ40分+流し3本 |
| 金 | インターバル(1000m×5本程度の軽め) | ペース走12〜16km |
| 土 | ジョグ40〜60分 | ジョグ40〜60分 |
| 日 | ロング走30km前後 | ロング走30〜35km |
ジョグは「つなぎ」ではありません。「今日は疲労を抜くためのジョグ」「今日は距離を稼ぐジョグ」と、毎回目的を決めて走る。これはサブ4でもサブ3でも共通する、森田が一番伝えたいアドバイスです。ロング走だけ、インターバルだけでは、レースペースで走り切る力はつきません。3種類のポイント練習を組み合わせてこそ効果が出ます。
練習日誌をつけるときは、インターバル・ペース走・ロング走・レースで色分けしてみてください。1ヶ月後に見返すと、どの練習が足りていないかが一目でわかります。
よくある質問(FAQ)
Q. 自分の乳酸閾値ペースはどう確かめればいい?
A. 研究機関での血中乳酸測定が確実ですが、現場では「1時間全力で走り続けられるペース」が実用的な目安になります。STEP2の2000m×4本を4分05秒で余裕をもって揃えられれば、サブ3に必要な閾値に近づいているサインです。
Q. 仕事が忙しくてポイント練習を週3回もできません。
A. 週2回なら「インターバル1回+ロング走1回」を優先してください。ペース走は2週に1回、ロング走の後半10kmを4分30〜35秒に上げる形で代用できます。
Q. レース何週間前から始めればいい?
A. 3ステップ×3〜4週間なので、レースの12〜16週間前が理想です。最後の2週間は本数を減らしてペースは維持し、疲労を抜いてスタートラインに立ちましょう。
まとめ|サブ3は「4分15秒を楽にする」練習の順番で決まる
- サブ3のカギは、乳酸閾値ペースを4分00〜05秒まで引き上げること
- ペース走はレースペース+15〜20秒。追い込みすぎない
- ペース走→2000m→1000mの3ステップで、閾値と余裕度を順番に積み上げる
- ポイント練習は週3回まで。「形になる練習」で最後の1本まで揃える
練習量を増やす前に、練習の「順番」と「強度」を見直してみてください。それだけで、次のレースの後半はきっと違った景色になります。
Sterling Squadで専門的に相談する
「自分に合う設定ペースがわからない」「インターバルがいつも後半で崩れる」。そんな方は、箱根駅伝2区区間賞の森田が直接走りを見る体験会へどうぞ。今の走力から、サブ3までの練習の組み立てを一緒に考えます。
この記事を書いた人:森田歩希(Sterling Squad コーチ)
青学OB(青山学院大学出身)。箱根駅伝では2区区間賞、3区で当時の区間新記録。総合優勝2回、4年時は主将を務めた。現在は長野・東京・埼玉で活動するランニングクラブSterling Squadで、市民ランナーやジュニア選手を直接指導している。監修:吉澤和宏(五輪帯同トレーナー)。


