ロング走ペース早見表|サブ3.5〜4時間45分・箱根駅伝2区区間賞コーチの3区間配分

週末に30km走を予定していると、「25kmを過ぎたら脚が止まるかも」と不安になりますよね。後半の失速は、スタミナ不足よりもペースの決め方で起きていることがほとんどです。特に多いのが、最初の5kmをなんとなく速く入ってしまうパターンです。

この記事では、青学OB(青山学院大学出身)・箱根駅伝2区区間賞ランナーの森田歩希がクラブで実際に伝えている「ロング走ペースの決め方」を、目標タイム別の早見表にまとめました。自分の目標の行を見れば、今週末に1kmあたり何分で走ればいいかが30秒で分かります。

結論:ロング走は「目標レースペース+30〜40秒/km」で走ります。30kmを3区間に分け、入りは+40秒で抑える・中盤は+35秒で一定・終盤は余力があれば+25〜30秒まで上げる。この配分を守るだけで、25km以降に脚が止まる確率はぐっと下がります。

この記事で分かること:

  • サブ3.5〜4時間45分の目標タイム別・ロング走ペース早見表
  • 30km走を3区間に分けた、失速しないペース配分の実例
  • 後半に失速する人に共通する3つの原因と、走る前の5項目チェックリスト

ロング走の基本は「レースペース+30〜40秒/km」

ロング走とは:レースペースより1kmあたり30〜40秒遅いペースで、長い距離を走り続ける練習。フルマラソンが目標なら30〜40kmが目安です。目的は追い込むことではなく、長い時間動き続けられる脚をつくり、補給の感覚をつかむことです。

森田コーチはクラブで「フルマラソンが目標なら、30〜40kmをレースペースより1kmあたり30〜40秒遅く。頻度は週1回で十分」と伝えています。

「こんなに遅くて意味があるの?」と思うかもしれません。ですが、「遅く走っても意味がない」はよくある誤解です。ロング走の目的は、30kmという距離に体を慣らすこと。スピードは別の日のインターバル走やペース走で磨けば十分で、ロング走の日にまで速さを求めると、翌週の練習の質が落ちてしまいます。

+30秒と+40秒のどちらに寄せるかは、その週の体の状態で決めます。

  • 疲れが残っている週・暑い日:+40秒寄り
  • 体が軽い週・涼しい日:+30秒寄り
  • 30km走が初めて:全区間+40秒のまま走り切ることを優先

【早見表】目標タイム別・30km走のペース6段階

自分の目標タイムの行を横に見てください。3つの区間でそれぞれ何分/kmで走ればいいかが分かります。

目標タイム レースペース 入り 0〜10km
(+40秒)
中盤 10〜25km
(+35秒)
終盤 25〜30km
(+25〜30秒)
30kmの所要時間
3時間30分(サブ3.5) 4:59/km 5:39/km 5:34/km 5:24〜5:29/km 約2時間47分
3時間45分 5:20/km 6:00/km 5:55/km 5:45〜5:50/km 約2時間58分
4時間00分(サブ4) 5:41/km 6:21/km 6:16/km 6:06〜6:11/km 約3時間08分
4時間15分 6:03/km 6:43/km 6:38/km 6:28〜6:33/km 約3時間19分
4時間30分 6:24/km 7:04/km 6:59/km 6:49〜6:54/km 約3時間30分
4時間45分 6:45/km 7:25/km 7:20/km 7:10〜7:15/km 約3時間40分

※レースペースは目標タイム÷42.195kmで算出(秒は四捨五入)。所要時間は終盤を+30秒で走った場合の目安です。

表の使い方は3ステップです。

  1. 「今の実力で狙える目標タイム」の行を選ぶ(憧れのタイムではなく、現実的な目標で)
  2. 入り・中盤・終盤の3つのペースを時計にメモする、または手の甲に書く
  3. 所要時間から逆算して、スタート時刻と補給の回数を決める

30km走を3区間に分ける:失速しないペース配分

30kmを同じペースで押し切ろうとすると、前半の「体が軽い時間帯」に速く入りすぎてしまいます。3つの区間ごとに役割を決めておくと、迷わず走れます。

区間1(0〜10km):+40秒で「遅すぎる」くらいに抑える

最初の10kmは、体を温めながら長い距離に入っていく時間です。ここで「遅いな」と感じるくらいがちょうどいいペース。森田コーチが箱根駅伝で大切にしていたのも「前半は力まず、体をフラットな状態で後半に残す」ことでした。会話ができる呼吸の楽さを目安にしてください。

区間2(10〜25km):+35秒で一定のリズムを刻む

ロング走の中心になる15kmです。1kmごとのラップの上下を5秒以内に収めるつもりで、同じリズムを続けます。補給もこの区間で定期的に入れます。水だけでなく、電解質を含むスポーツドリンクとエネルギージェルを組み合わせるのが基本です。

区間3(25〜30km):余力があれば+25〜30秒まで上げる

25kmを過ぎてフォームが崩れていなければ、1kmあたり5〜10秒だけ上げます。きつければ+35秒のまま走り切れば十分です。「最後に少し上げて終わる」経験が、レース終盤の自信になります。

サブ4を目指す人の実例:0〜10kmを6:21/km、10〜25kmを6:16/km、25〜30kmを6:06〜6:11/kmで走ります。合計は約3時間08分。補給を入れる地点もスタート前に決めておきましょう。

30km走に慣れてきたら、森田コーチがすすめる仕上げの練習があります。30kmを走った後に、2.195kmだけレースペースで走る方法です。疲れた脚でレースペースを出す感覚を、本番前に体験できます。

後半に失速する人に共通する3つの原因

  1. 最初の5kmが速すぎる:体が軽い前半に、早見表の「入り」より10〜20秒速く走ってしまうパターン。最初の1kmのラップを必ず確認し、速ければすぐ落とします。
  2. 補給が定期的にできていない:喉が渇いてから、お腹が空いてからでは遅れます。森田コーチも、後半失速する人には「エネルギーの定期補給ができているか」をまず確認します。
  3. 30kmという距離に体が慣れていない:月に1回だけでは、脚が距離を覚えません。どんなに練習しても失速することはありますが、週1回のロング走を続けることで確率は下げられます。

もう1つ、フォームの面からも補足します。五輪帯同トレーナーの吉澤和宏によると、レース後半は筋疲労でフォームが崩れやすく、それが動きの効率を下げて失速につながります。お尻・もも裏・体幹の補強を週に数回入れておくと、終盤の粘りが変わります。

走る前に確認する5項目チェックリスト

  • □ 早見表で3区間のペースを決め、時計か手の甲にメモした
  • □ 補給するタイミングと回数を決め、ジェルとスポーツドリンクを用意した
  • □ 朝食は消化のいいものを食べ、スタートまで時間を空けた
  • □ 股関節・肩甲骨・胸椎まわりの動的ストレッチを済ませた
  • □ 歩いて痛い場所がない(痛みがあれば、その日は走らない)

走り終えたら、クールダウンジョグ→ストレッチ→入浴→タンパク質を含む食事→早めの就寝、の順でケアします。ロング走は「走った後の過ごし方」までがセットです。

ロング走のペースでよくある質問4つ

ロング走のペースは遅すぎても効果がありますか?

あります。ロング走の目的は、長い時間動き続ける脚づくりと補給の練習です。レースペース+30〜40秒/kmで十分に目的を果たせます。速さは別の日のインターバル走やペース走で鍛えましょう。

30km走はレースの何週間前までに終わらせるべきですか?

追い込む練習は遅くとも10日前、理想は2週間〜10日前までに終わらせます。1週間前に不安になって30kmを走るのは逆効果です。1週間で人は強くなれないので、淡々と調整を続けるほうが結果はうまくいきます。

30kmを走り切れないときはどうすればいいですか?

いきなり30kmにこだわらず、20km→25km→30kmと段階的に伸ばしてください。ペースは全区間+40秒のままで構いません。距離を伸ばす週はペースを上げない、と決めておくと故障を防げます。

ロング走だけでサブ4は達成できますか?

ロング走だけでは、レースペースで走る力はつきません。森田コーチの基本構成は、ジョグ週3回・インターバル走週1〜2回・ロング走週1回・完全休養週1回。強い日と弱い日を組み合わせることで、努力が結果につながります。

まとめ:今週末は「入りの10km」だけ意識してみよう

  • ロング走はレースペース+30〜40秒/kmで、週1回
  • 30kmは+40秒→+35秒→+25〜30秒の3区間で走る
  • 失速の原因は「入りの速さ・補給・距離への慣れ」の3つ

全部を一度に変える必要はありません。今週末は、早見表の「入り」のペースを守ることだけ意識してみてください。25kmを過ぎたときの脚の残り方が、きっと変わります。

この記事の解説:森田歩希(Sterling Squad コーチ)
青山学院大学出身。箱根駅伝2区区間賞、総合優勝2回、4年時主将。現在は、五輪帯同トレーナーの吉澤和宏とともに、長野・東京・埼玉のランニングクラブ Sterling Squad で市民ランナーからジュニアまで直接指導しています。

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